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相続不動産の売却で税金はどう変わる?特例を活用して負担を抑える方法

不動産売買 税金の特例

盛井 直彦

筆者 盛井 直彦

不動産キャリア12年

不動産は分かりにくいことも多いため、できるだけ分かりやすく丁寧にお伝えすることを大切にしています。不動産の購入や売却は大きなお取引になりますので、お客様に安心して進めていただけるよう、誠実な対応をモットーにしています。


相続で引き継いだ不動産を売却するかどうかは、感情面だけでなく税金の不安も大きな悩みになりがちです。
相続税に加えて、譲渡所得税や住民税など、売却のタイミングで関係してくる税金は複数あり、それぞれ仕組みや考え方が異なります。
しかし、全体像と基本ルール、さらに活用できる特例を理解しておけば、無駄な税負担を抑えながら、納得のいく判断につなげることができます。
本記事では、相続不動産の売却で押さえておきたい税金の種類や計算の基礎、代表的な特例のポイント、そして損をしないための売却タイミングの考え方まで、順を追って分かりやすく解説します。
これから具体的な売却を検討したい方は、まずここで整理しながら、一緒に確認していきましょう。

相続不動産の売却で発生する税金の全体像

相続した不動産を売却するときには、いくつかの税金が関係してきます。
代表的なものとして、相続の時点でかかる相続税、売却益に対してかかる所得税・住民税、売買契約書に貼付する印紙税などがあります。
また、登録免許税や不動産取得税といった税金が関わる場合もあり、それぞれの税金ごとに課税の場面や計算方法が異なります。
まずは、どの場面でどの税金が問題となるのかを整理しておくことが大切です。

相続税は、被相続人から財産を取得した人に対して課される税金であり、不動産の評価額や基礎控除額などに基づいて計算されます。
一方、相続した不動産を売却したときに利益が出れば、その利益に対して譲渡所得として所得税と住民税が課されます。
このように、相続の時点での課税と、売却の時点での課税は目的と対象が異なり、それぞれ別の手続きと考えた方が整理しやすくなります。
なお、売買契約書に貼る収入印紙にかかる印紙税は、契約書の金額に応じて定められた税額が課される仕組みです。

相続した不動産を売却するときの大まかな流れとしては、まず被相続人から引き継いだ取得費や相続税の負担状況を整理し、そのうえで売却価格と譲渡費用を見積もることになります。
売却によって利益が出た場合、その利益である譲渡所得に対して所得税と住民税がかかり、所有期間によって税率が変わります。
所有期間が原則として5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得として区分され、短期の方が税率が高くなります。
この所有期間の区分や、相続開始日をどのように考えるかが、相続不動産の売却では重要なポイントとなります。

税金の名称 主な課税の場面 基本的な役割
相続税 被相続人から財産取得 相続財産全体に課税
所得税・住民税 不動産売却で利益 譲渡所得に対する課税
印紙税 売買契約書作成時 契約書に対する課税

相続不動産を売却するときの譲渡所得税と計算の基礎

相続した不動産を売却すると、まず譲渡所得税と住民税がかかり、その税額は所有期間の長短で大きく変わります。
一般に、所有期間が5年以下の短期譲渡所得は税率が高く、5年を超える長期譲渡所得は税率が低く抑えられます。
譲渡所得税は所得税と復興特別所得税を合わせたもので、これに住民税が加わる仕組みです。
相続による取得の場合、所有期間の起算点が被相続人の取得時にさかのぼる点も重要な前提になります。

譲渡所得の基本的な計算は、「売却価格-取得費-譲渡費用」という考え方で整理できます。
取得費には、もともとの購入代金のほか、仲介手数料や登録免許税など取得時に要した費用が含まれます。
譲渡費用には、売却のために支払う仲介手数料や測量費、建物の解体費用などが該当します。
このように、どこまでを取得費・譲渡費用として計上できるかで、課税対象となる譲渡所得の金額が変わってきます。

相続不動産の場合、取得費は被相続人が購入した際の金額や諸費用を引き継ぐ形で考えるのが原則です。
しかし、古い売買契約書が見当たらないときは、実額ではなく概算取得費を用いる方法があり、これは売却価格の一定割合を取得費とみなす仕組みです。
また、相続時に相続税を納めている場合は、一定の条件のもとで相続税の一部を取得費に加算できる特例も用意されています。
どの方法が有利かは個別の事情で異なるため、まずは資料を整理し、取得費をどのように把握できるかを確認することが大切です。

項目 主な内容 確認のポイント
譲渡所得税の区分 短期譲渡・長期譲渡 所有期間5年の判定
取得費に含めるもの 購入代金・諸費用 契約書や領収書の有無
譲渡費用に含めるもの 仲介手数料・測量費 売却のための支出かどうか

相続不動産の売却で使える主な税金の特例と概要

相続した不動産を売却する際には、通常の譲渡所得の計算だけでなく、いくつかの特例制度が利用できる可能性があります。
その代表が、相続税額の一部を取得費に上乗せできる「取得費加算の特例」です。
この特例は、相続や遺贈により取得した土地や建物などを一定期間内に譲渡した場合に、納付した相続税の一部を取得費に加算し、課税される譲渡所得を少なくできる仕組みです。
適用の有無で税額が大きく変わるため、相続税の申告状況と売却時期を必ず確認することが大切です。

取得費加算の特例を受けるには、適用対象となる財産であることに加え、相続税の申告を行っていることなど、いくつかの条件があります。
また、相続税の申告期限の翌日から起算して一定期間内に譲渡する必要があり、この期間を過ぎると特例は使えません。
過去の裁決事例でも、期限を超えて譲渡した場合には事情にかかわらず特例の適用が認められていないことが示されています。
そのため、売却を検討する段階で、相続税の申告期限と売却予定時期を早めに確認し、期限内の譲渡を意識したスケジュールを立てることが重要です。

相続した不動産が、被相続人の居住用であり、相続後に空き家となっている場合には、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」による最大3,000万円の特別控除が受けられる可能性があります。
この特例は、一定の耐震基準や取り壊し・譲渡期限などの要件を満たしたうえで、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に適用されます。
なお、この空き家特例と取得費加算の特例は同じ資産について併用できないとされており、どちらを使う方が有利かの検討が欠かせません。
加えて、一般の「居住用財産の3,000万円特別控除」など、相続不動産の売却でも利用を検討できる制度があるため、条件を整理して比較することが重要です。

特例の名称 主な節税効果 おおまかな適用期限
取得費加算の特例 相続税額を取得費に加算 相続税申告期限後一定期間内
相続した空き家の3,000万円特別控除 譲渡所得から最高3,000万円控除 相続開始から3年経過年の年末まで
居住用財産の3,000万円特別控除 自宅売却益から最高3,000万円控除 居住用としての要件を満たす期間内

相続不動産の売却タイミングと特例適用で損をしないための注意点

相続した不動産の売却では、相続税の申告期限から原則3年以内に売却した場合に適用できる特例があり、売却時期の判断がとても重要になります。
相続税額の一部を取得費に加算できる特例や、相続した空き家の3,000万円特別控除などは、それぞれ期限や細かな要件が定められています。
そのため、売却価格だけでなく、いつまでに売却するか、どの特例の要件を満たせるかをあらかじめ整理しておくことが大切です。
まずは全体のスケジュール感と、相続開始日や相続税申告期限などの基準となる日付を把握しておきましょう。

相続から3年以内の売却を検討する場合は、特例の期限に間に合うかどうかを意識しながら予定を立てることが欠かせません。
売却前には、名義を被相続人から相続人へ変更する相続登記や、境界確認のための測量、老朽化した建物の状態確認などに時間を要することがあります。
また、相続した空き家の3,000万円特別控除では、耐震基準を満たすための改修や、一定の要件を満たす解体が必要となる場合があり、工事期間も考慮する必要があります。
このように、登記や測量、必要な工事の期間を逆算して、余裕を持った売却スケジュールを組み立てることが重要です。

複数の特例を同時に適用できるかどうかは、制度ごとに取扱いが異なるため、個別に確認する必要があります。
相続した空き家の3,000万円特別控除と、取得費加算の特例などは、同じ売却に対して併用が制限される場合があるため、どの特例を優先的に使うかを検討しなければなりません。
一般的には、どの特例を利用した場合に税負担が最も軽くなるかを比較し、適用要件の厳しさや手続きの負担も含めて総合的に判断します。
特例の優先順位を検討する際には、譲渡所得税の試算と、適用できる可能性がある特例の一覧を整理しておくと、判断しやすくなります。

確認する書類 主な内容 確認の目的
固定資産税評価証明書 土地建物の評価額 相続税や登録免許税の基礎
相続税申告書一式 相続税額と評価方法 取得費加算の特例の検討
登記事項証明書 所有者名義と権利関係 相続登記の有無と内容確認
売買契約書や領収書 取得費や過去の工事費 譲渡所得の計算資料
建物の検査記録等 耐震性や修繕履歴 空き家特例の要件確認

売却前には、これらの書類や情報を早めに整理し、抜けや不足がないかを確認しておくことが重要です。
特に、過去の売買契約書や領収書が見当たらない場合は、取得費が概算で計算される可能性があり、税額に影響することがあります。
相続税申告書や相続登記の内容も踏まえながら、どの特例が使えそうか、いつまでに売却する必要があるかを検討するとよいでしょう。
そのうえで、税務の専門家などに相談する時期としては、売却の具体的な検討を始めた段階や、売買契約締結の前が目安となります。

まとめ

相続不動産の売却では、相続税だけでなく譲渡所得税や住民税など複数の税金が関わります。
特に譲渡所得は「売却価格-取得費-譲渡費用」で計算され、所有期間や特例の有無で税額が大きく変わります。
取得費加算の特例や相続した空き家の3,000万円特別控除などは、期限や条件を満たさないと使えません。
いつ売却するか、どの特例を優先するかは、ご状況によって最適な判断が異なります。
「自分の場合はいくら税金がかかるのか」「どの特例が使えるのか」を整理したい方は、ぜひ一度当社へご相談ください。

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