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空き家の相続を放棄すべきか?デメリットと判断材料を解説

相続・空き家

竹株 良祐

筆者 竹株 良祐

不動産キャリア8年

地元が津市で津市内に在住しております。
不動産売買業に携わり今年で9年目となります。
これまでの経験を活かし、売主様へ最善のご売却提案を致します!


親が亡くなり、誰も住まなくなった実家の空き家。
相続するべきか、それとも相続を放棄するべきか、悩みながら時間だけが過ぎていないでしょうか。
相続放棄は、空き家を手放す有力な手段のように見えますが、他の財産も含めて放棄することになるため、思わぬデメリットやリスクを抱える可能性があります。
さらに、相続放棄を選んでも、一定の期間は管理義務が残るなど、仕組みを知らないまま判断すると後悔につながりかねません。
そこで本記事では、空き家と相続放棄の基本から、具体的なデメリットや管理上の注意点、検討すべき判断ポイントまでを、初めての方にも分かりやすく整理して解説します。
実家の空き家の扱いに迷っている方は、まず全体像をつかむつもりで読み進めてみてください。

実家の空き家を相続放棄する仕組みと基本

相続放棄とは、亡くなった方の遺産について、プラスの財産とマイナスの財産を含めて一切引き継がないと家庭裁判所に申し出る制度です。
民法では、相続放棄をすると初めから相続人でなかったものとみなされると定められており、空き家も含めて相続財産全体を承継しない取扱いになります。
このため、空き家の負担を避ける目的であっても、預貯金など他の財産だけを受け取るという選び方はできない点が重要です。
まずは、相続放棄が「財産全体に対する包括的な意思表示」であることを押さえておく必要があります。

相続放棄を行うには、相続人が自ら家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出し、受理してもらう必要があります。
民法では、自己のために相続の開始があったことを知った日から原則として3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決める熟慮期間が定められています。
この期間内に相続財産の内容を調査し、相続放棄を選ぶ場合は、必要書類をそろえて家庭裁判所に申述を行う流れです。
財産や負債の全体像が分からないときは、この期間の伸長を家庭裁判所に申し立てる仕組みも用意されています。

実家の空き家だけを手放し、他の財産だけを相続するという限定的な選択は、相続放棄の制度上認められていません。
相続放棄をすると、その人は初めから相続人でなかったものと扱われ、次の順位の相続人に相続権が移っていく仕組みになっています。
例えば、ある相続人が全て相続放棄をした場合には、家庭裁判所で相続財産清算人が選任され、最終的に残った財産は法律の定めに従って処理されます。
このように、相続放棄は自分だけの問題ではなく、親族全体の相続関係や空き家の行方にも影響する点を理解することが大切です。

項目 相続放棄の基本 確認したいポイント
対象となる財産 空き家含む全相続財産 プラスとマイナスの洗い出し
手続の窓口 管轄家庭裁判所への申述 必要書類と手数料の確認
期限と影響範囲 原則3か月以内の熟慮期間 後順位相続人への影響把握

空き家だけでなく他の財産も失う相続放棄のデメリット

相続放棄をすると、実家の空き家だけでなく、被相続人名義の預貯金や有価証券など、原則としてすべての相続財産を一括して受け取れなくなります。
相続財産には、通帳に残っている預貯金だけでなく、未解約の投資商品や貸付金債権なども含まれるため、思いがけない資産を手放してしまうおそれがあります。
また、死亡保険金や死亡退職金などは、受取人の指定や制度上の位置付けにより、相続放棄後も受け取れる場合がありますが、相続財産となるものについては放棄の対象になる点に注意が必要です。
このように、空き家の負担を避けようとして行う相続放棄でも、他のプラスの財産を広く失う結果となることを踏まえて検討することが大切です。

相続放棄をすると、被相続人の預貯金や動産などの相続財産を承継しないだけでなく、未払賃金や死亡退職金の一部が相続財産として支給される場合には、その取得もできなくなります。
死亡退職金は、一定の要件を満たすものについて相続税の課税対象とされており、受給の場面では相続との関係が生じることがあります。
一方で、法律や契約に基づき「受取人自身の固有の権利」とされている死亡保険金や遺族年金、未支給年金などは、相続放棄をしても請求できると整理されているものがあります。
このように、相続放棄の有無によって影響を受ける財産と影響を受けない給付が混在するため、事前に種類ごとの取り扱いを理解しておくことが重要です。

さらに、相続放棄をすると、自分が相続人から外れることで、次順位の親族へ相続権が移ります。
その結果、空き家を含む財産や負債の対応を、これまで相続に関わるつもりがなかった親族が急に担うことになり、説明責任や費用負担を巡って感情的な対立を生むおそれがあります。
また、複数の親族が相次いで相続放棄をした場合、誰が対応するのか分かりにくくなり、空き家の管理や売却の話し合いが進まないまま時間だけが経過してしまうこともあります。
このような親族間の関係悪化や調整負担の増大も、相続放棄の大きなデメリットとして認識しておく必要があります。

区分 相続放棄の影響 注意すべき点
預貯金・有価証券 相続財産として一括放棄 残高や商品内容の事前確認
死亡保険金・遺族年金 受取人固有権利は請求可能 契約内容と受取人の確認
親族間の関係 相続権が後順位へ移転 説明不足による不信や対立

空き家を相続放棄しても残る管理義務とリスク

相続放棄をしても、すぐに空き家から完全に手を引けるとは限らない点に注意が必要です。
民法940条では、相続を放棄した人であっても、放棄時に相続財産を現に占有している場合には、次の管理者や相続財産清算人などに引き継がれるまで、財産を保存する義務があると定められています。
この保存義務は、建物の倒壊防止や施錠の維持など、空き家が周囲に危険を及ぼさないように管理することが中心になります。
そのため、相続放棄を選ぶ際には、放棄後しばらく続く管理責任の有無や範囲を事前に確認しておくことが大切です。

空き家を長期間放置すると、老朽化が進み、外壁や屋根、塀などが強風や地震をきっかけに落下・倒壊するおそれがあります。
国や公的機関の資料でも、管理が行き届かない空き家では、雑草の繁茂やごみの不法投棄、害虫・小動物の発生、放火による火災リスクなどが全国的な問題となっていることが指摘されています。
こうした被害が実際に発生した場合、民法717条に基づき、所有者等が工作物責任として損害賠償を負う可能性があり、建物や車両の損壊、人身事故に発展すると賠償額が高額になることもあります。
したがって、相続放棄をしたとしても、引き継ぎまでの管理や、その後の所有者による適切な管理を怠らないことが重要です。

さらに、空家等対策の推進に関する特別措置法では、周辺の生活環境を著しく損なう空き家を「特定空家等」などに位置付け、市区町村が指導や勧告、命令、行政代執行を行える仕組みが整えられています。
特定空家等として勧告を受けると、住宅用地に適用される固定資産税の住宅用地特例が外れ、土地部分の税負担が大きく増えることがあります。
また、命令に従わない場合には、自治体が解体などを代わりに実施し、その費用が所有者等に請求される可能性もあります。
このように、空き家を放置すると税負担の増加や行政からの是正措置など多くの不利益が生じ得るため、相続放棄の有無にかかわらず、早めに管理方針を決めることが求められます。

項目 内容 想定される不利益
相続放棄後の保存義務 占有中の空き家の安全確保 管理怠慢による責任追及
放置空き家の近隣被害 倒壊・火災・害虫発生 民法717条に基づく損害賠償
特定空家等の指定 市区町村からの勧告・命令 固定資産税の増加や代執行費用

実家の空き家の扱いを決めるための判断ポイント

まず、実家の空き家について相続放棄を考える前に、その建物と土地のおおよその価格や老朽化の進み具合を把握しておくことが大切です。
例えば、固定資産税の課税明細書を確認すると、土地と家屋それぞれの評価額や税額を知ることができます。
総務省統計局の「住宅・土地統計調査」では、全国的に空き家数が増加し、空き家率が上昇していることが公表されており、所有コストの見直しは多くの世帯にとって共通の課題になっています。
このような背景も踏まえて、維持管理費を含めた長期的な負担を具体的な金額で見積もることが、最初の判断材料になります。

次に、家族構成やそれぞれの生活状況を整理し、空き家を将来どのように利用する可能性があるかを検討することが重要です。
実家の近くに居住している相続人がいるか、今後誰かが居住する予定があるか、二拠点居住や将来の介護拠点として使う構想があるかなどを話し合うと、方向性が見えやすくなります。
相続人が複数いる場合は、管理や費用負担の分担方法を早めに共有しておかないと、将来の売却や活用を巡って意見の対立が生じるおそれがあります。
このように、空き家の活用可能性と家族のライフプランを合わせて考えることで、相続放棄を選ぶかどうかの現実的な判断がしやすくなります。

さらに、相続放棄だけにとらわれず、売却や賃貸、解体、国土交通省が案内している空き家対策関連の支援制度など、複数の選択肢を比較検討することが大切です。
国土交通省は「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、自治体による空き家対策や支援制度の情報を整理しており、老朽化空き家の除却や利活用を後押しする施策も用意されています。
また、相続した空き家を一定の条件の下で譲渡した場合に、譲渡所得から最大で3,000万円を控除できる特例が設けられており、経済的な負担軽減につながる可能性があります。
こうした制度の適用可否や、相続放棄を含めた全体の出口戦略については、できるだけ早い段階で専門家に相談し、自身の事情に即した最適な方法を検討することが望ましいです。

判断項目 確認する内容 押さえたいポイント
経済的負担 固定資産税と維持費 長期的な総額試算
家族の状況 相続人の人数居住地 利用予定と負担分担
活用と制度 売却賃貸解体の可否 税制特例と支援制度

まとめ

実家の空き家を相続放棄すれば、空き家の負担から完全に解放されるわけではありません。
他の財産も一括で失ううえ、親族間の関係や将来受け取れる可能性のある給付にも影響し得ます。
さらに、相続放棄後も管理義務や近隣への賠償リスク、固定資産税負担が残る点にも注意が必要です。
だからこそ、空き家の価値や老朽化、維持費、家族の状況を整理し、相続放棄以外の選択肢も含めて比較検討することが大切です。
当社では、空き家の現状確認から今後の方針決めまで、お悩みに寄り添いながら丁寧にご説明します。
「自分のケースではどうするのがよいか知りたい」という段階でも構いませんので、まずはお気軽にご相談ください。

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